全在籍車輛履歴表(凡例)

降車ボタンの形状について
仙台市営バスで採用している降車ボタンは、他の事業者に比べればバラエティーに富んでいるとはいえませんが、03年現在、3種類のボタンが使用されています。
基本的に車輛新造時から廃車・除籍時まで同じボタンを採用していますが、空港特急用に転用された車輛は新造時には降車ボタンを備えていなかった事から、他の同世代の車輛とは異なるボタンが設けられています。また、89年度新造車より本採用された優先席の“ゆずりあいの席”に設置された降車ボタンは、89年式車輛であっても、やはり後付けの為に91年度以降と同じ形態のボタンが採用されているなど、実に興味深い点があります。
ここでは、あくまで“凡例”ですので、画像を用いての簡単な紹介とします。
  リスト中の“2”番タイプ(ゴールドキング製)

市バスでは一頃はこれが主流であったものの、最近は老朽置き換えに伴い、このボタンを押す時の独特の触感を味わう機会がめっきり減りました。
現存する車輛の製造年では87年式〜90年式に採用されていますが、90年度に導入された中型車は“3”番のタイプになります。また、この製造年次の車輛であっても、優先席の“ゆずりあいの席”の降車ボタンは“3”番タイプとなっています。

左画像 : []宮城22か55-25
右画像 : []宮城22か55-53

  リスト中の“3”番タイプ(ゴールドキング製)

現在はこれが主流になりました。91年度から本格的に採用された下部固定・上部引き違いの逆T字窓仕様の車輛以降、99年度に導入された“るーぷる仙台”まで採用され続けました(一部例外あり)。
また、90年以前の車輛の“ゆずりあいの席”の降車ボタンはこのタイプとなっています。また、90年製の車輛でも中型車のみ、このタイプを採用しています。
押し心地は非常に柔らかく、寝過ごしそうになった時に慌てて押す分には良いのですが、車輛が揺れた際などに間違って押してしまう事も度々あるみたいです。
全国的には採用例が少ないらしく、まとまった数の導入実績は仙台市交通局のみらしいのですが、仙台人の立場からすると最も親しみ慣れたタイプですね。

左画像 : []宮城200か00-77(撮影当時川内)
右画像 : []宮城22か62-95

  リスト中の“4”番タイプ(ゴールドキング製)

00年度以降採用されているタイプです。割と全国的に見ても当たり前に見られるタイプになりました。
押し心地は“3”番のタイプよりも固く、どこか引っ掛かるような感じがして、今ひとつ“ボタンらしさ”を感じられない点が惜しまれます。
なお、このタイプからボタンの押面にボタンの説明書きが付記されるようになり、プレートが別個で設置されなくなりました。英文の説明書きは短命に終わりました。

左画像 : []宮城200か05-72
右画像 : []宮城200か02-04

クリックすると拡大画像を表示します。 余談になりますが、市バスには降車ボタンの他、車内気温に関するリクエストを乗務員に対して行えるようなボタンが93年度新造車輛より01年度新造車輛まで、標準装備として設置されてありました。
このようなボタンが車内進行方向向かって左側は側面方向幕点検蓋部に、右側は後部の非常扉隣に設置されてありましたが、このボタンを押すと大音量でブザーが鳴り、また一部のドライバーからは押されると迷惑だという声が出ていた事もあってか、03年7月頃より一斉に撤去されました。
但し、宮城交通に02年度に譲渡された車輛には未だに残っており、市バスからは消えましたが、このボタンそのものは完全消滅していません。


営業所・出張所について
仙台市交通局自動車部には、2003年10月現在5営業所3出張所があります。現在の組織図を簡単に示すと
川内営業所
白沢出張所
実沢営業所
東仙台営業所
七北田出張所
霞の目営業所
岡田出張所
長町営業所
こうなります。しかし、以前は今よりも営業所・出張所数が多く、最盛期には7営業所5出張所体制でした。
次に示すのは最盛期とも呼べる、実沢営業所・岡田出張所が開設される直前の1992年頃の組織図です。
川内営業所
白沢出張所
北仙台営業所 実沢へ移転
七北田営業所 現在、出張所
泉パークタウン出張所 現在廃止(宮城交通泉営業所に転用)
根白石出張所 現在廃止
東仙台営業所
塩釜出張所 現在廃止
霞の目営業所
長町営業所
南仙台営業所 現在廃止
閖上出張所 現在廃止
この頃の組織図を見ると、仙台市が政令指定都市に認定される前ならば、5営業所が仙台市内、残りの2営業所と5出張所が仙台市外にあった事になります。今は郊外拠点型に感じませんが、当時は仙台市営バスの営業路線は必ずしも仙台市内に収まっていたわけではなく、寧ろ仙台市外へ行かねば営業が成り立たない状態だったのです。
92年の時点でも仙台市外にあった営業所・出張所は、塩釜営業所、南仙台営業所、閖上出張所になります。当時は仙台市だけでなく、多賀城市を経て塩釜市、また名取市・岩沼市にも営業路線を展開していました。定期観光バスを含めれば、比較的最近まで塩釜市よりも更に東隣の松島町まで乗り入れていた事になります。民営事業者ならば複数の市町村を通る事は当たり前ですが、市営交通で近隣市町、しかも一つならばまだしも、仙台市を除いて5市町に乗り入れていたという広域な路線営業範囲は全国的にも珍しいのではないでしょうか。

仙台市営バスでは割と車輛の転属も盛んですが、メーカーを揃える傾向がかなり強く、少数派は極力作らないようにしているみたいです。例えば、今は無き南仙台営業所や閖上出張所が廃止になった際には、主に日野車が在籍していた営業所・出張所だった事から、日野車を配置している七北田、霞の目、岡田所で大きな動きが見られました。
この方針は00年度以降の変則的な導入制度になってからも継承されており、東仙台営業所に半年と在籍せずに霞の目へ転属した宮城200か04-19はその好例と言えましょう。
一方で、主な導入メーカーを突然変更した例もあり、例えば七北田出張所(当時は営業所でした...)は、以前は三菱中心でしたが、今ではほぼ100%、01年度以前の車輛に関しては全てが日野車で統一されています。以前、このコンテンツのトップを飾っていた写真のように、今はブルーリボンばかりが並べられた壮観な景色が展開されています。

そういった、導入方針の変遷なども、一覧表になった事により、掴み取る事ができるかと思います。意外な新造配置先や、出戻りばかり繰り返している車輛、そんな車輛も数多く収録された履歴表をじっくりと御覧下さい。


営業所ステッカーについて
仙台市バスは、所属営業所・出張所を漢字一文字のステッカーで識別しています。
文字の色は上の一覧表と同じく、川内・白沢は水色、実沢はローズピンクといった具合に制定されています。全車輛貼付位置は統一されており、公式面は中扉向かって右側窓、非公式面は向かって最も右側の窓、更に後部は窓向かって左側の上位になります。
(※ 以下の画像は全てクリックする拡大表示されます。)
川内(営) 白沢(出) 実沢(営) 東仙台(営)
七北田(出) 霞の目(営) 岡田(出) 長町(営)
おまけ 泉パークタウン出張所のステッカーはこちらです。まだ予想以上の良好な状態で残っていました。

仙台の市バスを見てみると、他にも前面と後面に貼付された動物ステッカーが目立ちます。これは、車輛の所属営業所・出張所を示す目的で行われており、仙台市役所を中心とした方位に合わせた、十二支の動物を使用しています。そのため、霞の目営業所・岡田出張所の“龍”のような、実在しない動物も描かれています。
川内(営)
白沢(出)
実沢(営)
北仙台(営)
泉P.T.(出)
根白石(出)
東仙台(営)
七北田(出)
塩釜(出)
霞の目(営)
岡田(出)
長町(営)
南仙台(出)
閖上(出)
余談になりますが、この動物ステッカーは他にも静岡県のしずてつジャストラインでも採用しており、こちらはメジャーな動物が中心となっている模様です。
静岡市内で確認した限りでは、下の4種がありました。
小鹿(おしか)営業所
唐瀬(からせ)営業所
鳥坂(とりさか)営業所
丸子(まりこ)営業所
どうも現存するのは上記四種のみみたいで、静岡市街以外の地域を受け持つ営業所では制定されていない模様です。
小鹿営業所がこの通り、唯一メジャーではない動物で、地名を捩っている事は明らかなのですから、鳥坂営業所が“うさぎ”というのは不思議な気もしますが、仙台の市バスと似た目的でステッカーを製作している点に妙に親しみを感じてしまいました。
このしずてつジャストラインはなかなか面白いもので、仙台市バスの窓に貼付された漢字一文字の営業所ステッカーによく似た制度で、アルファベット一文字を○で囲んだステッカーが貼付された車輛もありました。他にも日本国内で同様のステッカーが見られる事業者があれば、是非とも訪れてみたいものです。
それにしても、googleなどで検索してみると、意外にも静岡のバスファンの方はこれの存在を紹介しようとしていない模様。なかなか面白い特徴だと思いますけれどね...。ウチで紹介しているぞ、とか、紹介するつもりだったのにネタを奪われた、というクレームのある方はどうぞメールで直談判を(笑)。
2004/05/10補記
熊本市交通局でも動物マスコットの使用例があるそうです。
ただし、使い道は仙台市交通局及びしずてつジャストラインとは大きく異なり、こちらは系統を示すプレートに動物が描かれているのだそうです。
ゾウ、ライオン、ワニ、パンダと動物園みたいですが、その中に紛れてツバメだとか、やっぱりシカだとか(笑)、結構マイナーな動物も採用しているみたいです...別に私はシカが嫌いなわけではありませんので、念のため
それにしても、このような用途ならば尚更採用例は少ないでしょう。別に動物マスコットを公共交通に使った例を集めようとは思いませんが、この熊本市交通局の事例も本当に興味深い“公共交通に親しんでもらう秘策”だと思います。
なお、この事はインターネット上にて紹介されてある模様です。気になる方は検索してみて下さい。
情報提供 : K.T.氏 貴重な情報を有難うございました。
2004/10/15補記
しずてつジャストラインの営業所ステッカーに新キャラクターが登場した模様です。
といってもオフィシャルサイトの表には出ておらず、今まで見落としていただけかもしれません。同社及び静岡鉄道線のプリペイドカード式乗車券“パサールカード”では、このキャラクターの新規制定記念に記念乗車券が発行されたそうです。
写真は取材にでも行けた際に載せる事にしておいて、新キャラクターについてですが、“ぱんだ”“かつお”“ぞう”“かもめ”“あかうみがめ”と記されています。“コアラ”に対して“ぱんだ”になっていたり、“かつお”とか“あかうみがめ”って何ですか、な話に思えてしまうわけですが、しずてつジャストラインほどマスコットキャラクターの面白い事業者は他にないと改めて感じた次第です。
因みに、私の内輪で仙台の市バスで動物ステッカーをバスカードのデザインにしたら増収効果が少しはあるのではないか、なんて話題になった事がありましたが、見事に先を越されてしまいました。ただし、セット価格で考えれば、しずてつジャストラインは10,000円ですが、仙台の市バスの場合は5,000円に抑えられます。交通局さん、検討してみる予定はありませんでしょうか?

--- おまけ ---
ステッカーというと、こんなモノも市バスにはありました。
[白]宮城200か04-16側扉のものを撮影・加工
クリックして頂けると、この画像だけ640pixels×640pixelsの大画像になります。
意外と知られていませんが、木はケヤキをイメージし、水色のSの字は“Sendai”と広瀬川を関連付けさせたものだそうです。個人的には“Idling Stop”の意味合いもあるのではないかと疑っていたりしますが...。

キャラクターというと、忘れてはならないのがこの“ゾウ”。最近は貼られている車輛が減少傾向です。
[七]宮城22か55-31後面方向幕装置に貼付のものを撮影
エアサス車である証ですので、エアサス車が当たり前となった今は新車に貼る必要が無いというものなのでしょうか。
エアサス車から黄帯が消えた96年度以降の新造車では、このステッカーが省かれていますが、黄帯が徐々に消えているのと同じく、このステッカーも徐々に数を減らしています。

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