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近年の動き
95年、停車中にエンジンを停止し、加速する際にエンジンを始動させる事ができるアイドリングストップ・スタートシステムを採用した“アイドリングストップバス”が試験導入されました。 当初は川内営業所、長町営業所、霞の目営業所に導入されたいすゞのKC-LV280Nの一部にのみ採用しましたが、翌96年度の新造車から全ての新造ディーゼル車がアイドリングストップバスとなっています。 アイドリングストップバスには写真のようなステッカーが車内外に貼られており、一目でわかりますが、全面広告バスとなり側面ステッカーが隠れている場合もあります。今後もディーゼル車は全てアイドリングストップシステムを採用する予定ですが、既に導入された車輛の改造等は行う予定が無いものと思われます。 余談ながら、95年に導入されたKC-LV280Nはロッドシフト車で、アイドリングストップバスでは最初で最後のロッドシフト車となりました。
画像:アイドリングストップバスのステッカー |
1998年度の新造車のうち、6台を特殊塗装を施した上で“国際姉妹友好都市バス”として運行開始しました。 何が契機となったのかは失念してしまいましたが、仙台市と姉妹・友好関係にあるアメリカのリバサイド市、ダラス市、メキシコのアカプルコ市、フランスのレンヌ市、中国の長春市、ベラルーシのミンスク市をそれぞれイメージしたペイントで登場しました。 また、02年度には新たに韓国の光州市も提携を結んだため、既に一般塗装で登場していた七北田出張所の新造車の装いを改め、この6台に加わりました。 車外だけでなく、車内も特別仕様となっており、各都市を紹介するポスター類が掲示されていましたが、現在は一部の車輛が一般の広告に差し変わってしまった模様です(霞の目営業所の0058で確認)。 いずれの車輛も特別変わった運用に使われる事なく、一般車と同じ運用に充当されています。 なお、導入された98年度には、記念バスカードも売り出され、今でも一部のバスの車内では運賃表に装飾用に使われていたり(運転手さんのやった事でしょうけれど...)、それらのカードは完売してから5年も経過する今でも時々目にする事があります。
画像:国際姉妹友好都市バスのうちの1台 実沢営業所のダラス号 |
仙台市内の観光名所を循環する特殊仕様のバスが運行開始しました。完成予想イラストとは大分イメージの違う車輛であるなど、色々な逸話が無いわけでもないのですが、実は99年度の新造車はこの“るーぷる仙台”用の3台のみで、いかに新造コストがかかったかがわかります。 現在、在籍する3台全てがフル活用される運用になっており、臨時増便時や代走時には川内営業所の一般路線車に“るーぷる仙台代走”などの紙が張り出された上で運用されます。多客期などには注意が必要です。 平日も休日も同じダイヤで30分間隔で運行されていますが、平日でもなかなかの混雑ぶりで、成功したプロジェクトと呼べそうです。
画像:るーぷる仙台専用車のうちの緑塗装車 |
仙台市バスの広告収入は、それまでは車内掲示広告と車外の看板広告のみに頼っていましたが、99年度から特殊フィルムのシールによる全面広告バスが運行開始しました。 運行開始当初は珍しい存在でしたが、今や当たり前に見られるまでに台数を増えています。登場当初は広告デザインに関して問題にならなかった事から、やや色遣いを見直す価値のありそうな広告バスが多かったのですが、近年では“より美しい広告でアピールする”という傾向が強まった為か、風景にミスマッチの広告は減りつつあります。 なお、写真のような仙台市が広告主の全面広告バスも運行されています。この車輛は広告の内容が幸いしてか、割と頻繁に“るーぷる仙台”臨時増便用に抜擢されているみたいです。
画像:全面広告バスのサイドビュー |
2000年度より、新造車の製造メーカーの選定方法が変更になったみたいです。 98年度まではいすゞ、日産ディーゼル、日野、三菱から平等に導入していましたが、2000年度以後、大型路線ディーゼル車、大型路線CNG車、中型車、小型車、ノンステップバスの分野でそれぞれ分けて、変則的な導入を続けています。 2000年度は、大型ディーゼル車はいすゞ、大型CNG車は日産ディーゼル、大型ノンステップバスは日野となっており、三菱車が導入されませんでした。 2001年度は、大型ディーゼル車に日野、大型CNG車は前年に続き日産ディーゼル、大型ノンステップバスはいすゞとなり、この年も三菱車は導入されませんでした。 2002年度は、大型ディーゼル車に久々の三菱、大型CNG車はもはや慣例となったかの如く日産ディーゼル、ノンステップバスはいすゞ、95年以後、久しぶりの中型車の新造車は日産ディーゼルを採用しました。 この傾向から、今年の2003年は大型ディーゼル車に久々の日産ディーゼルか、とも思われたのですが、意外や意外、三菱車が2年連続で採用されたのです。大型CNGバスは例年通りの日産ディーゼルが導入され、これは仙台市バス最後の富士重工ボディーの車輛となりました。中型車は日野、ノンステップバスはいすゞでしたが例年になく4台も導入されました。これはバリアフリー対策も“オムニバスタウン構想”に含まれている事が関連しているものと考えられます。 このような導入方式の変更に伴い、バスファンとしては導入車輛の把握が遣り易くなったのではありますが、現場としては今まで慣れていたメーカーとは異なるメーカーの車輛が導入されている場合もあり、現場で歓迎されている導入方式かどうかに関してはやや疑問でもあります。 画像:2000年度に導入された日野ブルーリボンのノンステップバス 中央警察署商工会議所前〜電力ビル前にて |
2000年度、東北地方で最初のCNGバス(天然ガス自動車)が導入されました。 2000年度から2002年度にかけて、毎年2台ずつ東仙台営業所に導入され続けていましたが、2003年度は今までの東仙台営業所だけでなく、霞の目営業所にも導入されました。 CNGバスの増備計画も“オムニバスタウン構想”の項目の中に含まれており、今後も年4台程度のペースで増備されるものと思われますが、製造コストが高く付く事から、当面はディーゼル車と並行導入していくものと思われます。 初年の2000年度と、翌2001年度はツーステップの、極一般的な富士重工7Eボディーの車輛を導入しましたが、2002年度以降はワンステップバスになりスペース確保の都合からガスタンクが屋根上に移動した事から、CNGバス独特の大きいタンクを屋根の上に載せた出で立ちで登場しました。4年連続で日産ディーゼルと富士重工の組み合わせで登場していますが、富士重工がバスの車体製造から撤退した事から、2004年度以降は西日本車体のボディーが載せられた車輛が導入されるものと思われます。
画像:初年の2000年度に導入されたCNGバス |
2002年10月7日のダイヤ改正で、仙台市交通局の泉パークタウン出張所が閉鎖となりました。 それに伴い、泉パークタウン出張所の担当路線のうち、一部の路線が宮城交通へ委譲され、車輛不足を補う為に宮城交通に譲渡された車輛が多数生じました。 宮城交通側のメンテナンスの都合から、いすゞ、日産ディーゼル、日野が中心となるものと予想されていましたが、意外にも三菱車が日野車より多く譲渡されました。路線委譲当初は仙台市バス塗装のままで営業運転に使われていましたが、ハイペースで塗装を宮城交通塗装に改められ、現在は譲渡車輛全てが青い窓に似合わない宮城交通塗装で走っています。 また、仙台市バス内部でも系統の見直しが行われ、七北田出張所が従来運行をしていなかった北仙台経由の仙台駅〜長命ヶ丘系統に充当される都合からダイヤ改正前に習熟運転が行われるなど、久しぶりに大きな動きを伴うダイヤ改正となりました。 宮城交通に委譲される可能性のある系統はまだ他にもあり、今後の動きが気になるところです。
画像:宮城交通に委譲された車輛第一号の57-18。仙台市バス時代は実沢営業所に在籍していた。 |
2004年3月29日のダイヤ改正で、仙台市交通局の一部路線と車輛が宮城交通へ譲渡されました。 2002年10月改正で車輛と路線の譲渡に関しての下積み経験があったため、今回はスムーズに移管作業が終わりましたが、車輛については前回のような市バス色の“宮城交通”は走ることなく、全て市バスからの譲渡車輛は再塗装の上、営業運転に投入されています。 移管された路線は、実沢営業所、七北田出張所管内の宮城学院線と、長町営業所管内の尚絅短大線で、どちらも学校へ向かう路線だけに採算性は高く、宮城交通も快く購入した背景にはそのような採算面の問題があるものと容易に推測できます。
画像:移管前の停留所にはこのような張り紙があった |
平成17年度(2005年度)までに工事を終了し、翌年より本格稼動となるバスロケーションシステム関連の工事が始まりました。 表面的にはアンテナの追加工事が主なもので、現時点では稼動していないシステムのため、あまり本質的に大きな影響は感じられませんが、事業の規模からするとLEDディスプレイ化工事と同じく“オムニバスタウン構想”の中に盛り込まれた大きな事業です。 平成16年度終了の時点では一部の車輛のみに留まる予定ですが、平成17年度までに仙台市交通局の車輛全てと、宮城交通の車輛全てに改造工事が行われる予定です。
画像:更に賑やかになった屋根周り。川内営業所所属02-06号 |
プロ野球の新球団“東北楽天ゴールデンイーグルス”。このホームゲームを行うフルキャストスタジアム宮城(県営宮城球場)と仙台駅東口、または定禅寺通市役所前を結ぶシャトルバスが運行開始となり、仙台市交通局、宮城交通、富士交通の3事業者による共同運行が2005年4月1日より開始となりました。 特筆されるのは一般路線車を用いる仙台市交通局と宮城交通の運行便で、行先表示(宮城交通の場合はLEDディスプレイ搭載車のみ)と車内放送の一部が共通の内容となっている点です。共同運行による臨時便とはいえ、このような事例は今までなかったのではないでしょうか? 運行開始当初は古豪揃いの運行路線でしたが、最近になり車輛もあまり選ばれない傾向が強まったのか、事業者の積極的な運行が感じ取れるようになりました。
画像:この車輛そのものが東口に来ることは決して珍しくはないものの...。霞の目営業所の55-36号 |
仙台市交通局自動車部は、2005年8月30日に交通エコロジーモビリティ財団より“グリーン経営”認証を取得しました。これは全国で22番目の取得であるものの、東北地方、そして公営バス事業者では初のことで、環境に対する一定の取り組みがやっと評価された形となりました。
また、翌年の2006年4月1日改正より、車内放送でもグリーン経営の認証取得をPRする放送が流れるようになりました。営利、非営利は別として、このような交通局のセールスポイントを放送に盛り込む例は、定期観光バスの廃止後、この放送が唯一ではないでしょうか。 |
仙台市交通局は経営改善を目的とし、道路運送法の第35条(事業の管理の受委託)に基づいて平成18年度より白沢出張所における運行業務を民間委託することを決定し、入札等を経てその委託先としてジェイアールバス東北が選ばれました。その民間委託状態での営業運行開始を前に、2006年1月13日よりジェイアールバス東北の車輛を用いた乗務員訓練が開始しました。 使用する車輛については全国的な他の事例とは異なり、受託したジェイアールバス東北側が用意したため、青森支店と福島支店より路線車が集められ、見慣れぬジェイアールバス東北の路線車が仙台市内を走る姿が多く見られることとなりました。 なお、委託事業開始後は乗務員や運行管理者等の職員がジェイアールバス東北に籍を置くだけであり、乗務員の車内掲示氏名札は交通局様式ですが、制服用名札はジェイアールバス東北様式、また制服こそ交通局と揃えられましたが、交通局の局章ではなくジェイアールバス東北の社章が付けられるなど、気付かぬような違いは多く見受けられるようです。人材のみ民営化する業務委託であるため、車輛等は今までと変わらず交通局の車輛により運行されています。
左画像 : 県庁市役所前〜商工会議所前を走行する、青森支店のL537-89263(P-HT233BA)。 |
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2006年4月1日改正より、懸案だった系統番号の規則性が改められ、全系統に系統番号が割り振られ従来の方角を示す記号を廃止する抜本的改訂が行なわれました。 これに伴い、車輛の前面表示はもちろん、側面、後面の行先表示にも系統番号の表示が盛り込まれ、表示様式の変更も合わせて行なわれています。 また、従来あまり積極的とはいえなかった印刷媒体による告知様式が改められ、同様に従来“耳”で認知することのできなかった系統番号という問題を打破すべく、放送での読み上げも行なわれるようになるなど、周知の徹底も図られたものとなりました。
上左画像 : 前面表示 |
2006年10月10日よりスタートした仙台ナンバー。これの周知の媒体として、交通局のバスたちが活かされることとなり、交通局の車輛の仙台ナンバーでの再登録が行なわれました。 当初より予算の組まれていなかった事業なのか、2006年度中に新聞報道のあったような全車輛の切替が行なわれる気配は全くありませんが、仙台ナンバー導入のPRを行なうべく予てよりラッピングが施されていた64-45号は、「仙台」の語呂合わせで1000番というナンバーに再登録されました。
左画像 : 仙台ナンバーに再登録された唯一の路線車。川内営業所所属の仙台230あ10-00号 |
かつては共済団地に乗り入れる専用車輛のみに取り付けられていたバックアイが、2007年2月より白沢出張所の車輛に取り付けられました。ダイヤ改正後の転属を視野に入れて工事が行われたため、ダイヤ改正前には川内営業所、実沢営業所、長町営業所の転属予定だった車輛にも同様の改造工事が施されました。 画像 : 行先表示上の白い箱状のものがバックアイのカメラ。白沢出張所所属の64-56号 |
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半世紀に渡り運行されていた、仙台市街と仙台空港を結ぶ仙台市交通局の特急バスが、2007年3月17日の運行をもって廃止となりました。仙台空港行きの最終便は写真の6415号、仙台駅前行きの最終便は定期観光バス廃止時の最終便と同じ5701号が充当されました。 廃止の一週間前にはほぼ全ての車輛の窓に「長い間ご利用ありがとうございました。」の文字が入り、最終日の午後からは交通局職員より乗車した利用者に対して記念品が手渡され、最終便では交通局と日本バス友の会東北支部の製作した最終便記念乗車証が配布されるなど、半世紀の歴史に幕を下ろすには相応しい演出の数々が行われました。
上左画像 : 仙台駅前で催された最終便出発のセレモニーの様子。 |
2007年8月上旬頃より順次、恐らくは全ての車輛を対象に車内手摺の濃色樹脂コーティング部の目立つ箇所に黄色いテープが巻きつけられる工事、及びカードリーダーのカード口が分かるよう、同じく黄色いマーキングが施される工事が行われました。詳細は不明ですが、暗所走行時などは車内で目立たぬ存在になる手摺の箇所が分かり易くするようにするための、色弱者に対するバリアフリーを目的とした工事と推察されます。 画像 : ダークブラウンの手摺に一際目立つ黄色いテープ。霞の目営業所所属の07-32号 |
2008年4月1日改正と同時に、宮城交通に対して霞の目営業所の下部組織である岡田出張所の管理業務を委託しました。手法としては先例である白沢出張所の委託のときと準じたものとなっており、委託へ向けての作業スケジュールもほぼ同じとなっています。 これに伴い宮城交通には岡田受託出張所が新設されました。また、白沢出張所の民間委託のときと同様に運用が大幅に増え、交通局〜閖上系統などを岡田出張所も受け持つようになりました。 画像 : 岡田出張所建物入口に掲出された宮城交通の社名プレート |
2009年4月1日改正と同時に、ジェイアールバス東北に対して東仙台営業所の下部組織である七北田出張所の管理業務を委託しました。本事例は06年の白沢出張所の同社への委託、また前年の岡田出張所の宮城交通への委託に次ぐ三例目です。七北田出張所は、直営で残った唯一の出張所でした。 白沢出張所のときと同様、これによってジェイアールバス東北には七北田事業所が新設されました。また、これまでの事例と同様に受け持つ系統数が増え、泉ビレジや西勝山など、これまで七北田所の運用に含まれていなかった路線も担うようになりました。 画像 : もはや見慣れた光景となっている、ジェイアールバス東北の「訓練車」となったL531-91265(福島支店所属 U-LV324L) |
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